答え
よく聞いていただきました。浄土真宗では『般若心経』は絶対あがりません。
『般若心経』は仏教のお経の中でも、もっとも有名なものです。三蔵法師玄裝が、インドの言葉から中国語(漢文)に、翻訳したことでも親しみがありますね。経文が短いということで、古くからよく使われるお経でもあります。写経や荒行、耳なし芳一の話にも出てきます。多くの宗派で祈祷時に読誦されるのは、大乗仏教の教えの根幹である、般若(智慧)に加えて密教的(真言)な色彩の強いお経だからでしょうか。
さて、浄土真宗で『般若心経』があがらないのは、親鸞聖人の師、法然上人のチョイスがあったからです。法然上人はたいへんな勉強家で、智慧第一と称されるほど、当時から有名なお坊さんでした。その法然上人がすべての経典を何度も読破した結果、覚悟をもって選ばれたのが、阿弥陀の選択本願念仏の教えだったのです。末法の時代、この教え以外にすべての人が救われる道はないと、革命的なチョイスをされました。これをさらに徹底されたのが親鸞聖人でした。このような経緯で、浄土真宗では、『般若心経』はもちろんのこと、浄土三部経以外の経典は読誦しないことが当然です。
(第6組 雲観寺 青木 知和)