Q&A ペットにお経を上げてほしい!

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答え

外出自粛生活以来、ペットと居る時間が増えて、以前より甘えてくるようになった、とよく聞きます。しかしペットといえども、よい時ばかりではなく老病死をかかえて生きている身であります。時には病気になって動物病院へ通ったり、加齢により足腰が弱り介護が必要になり、そしてやがて死に往く姿は、まさに人間と同じであります。

ペットは家族の一員であるという考え方は否めないでしょう。亡くなれば心情的には見送りの儀式とお経の一つでも上げてあげたい気持ちになるものです。

しかし仏教の教えからはペットにお経を上げる必要はありません。何故なら動物は自ら死を選ぶことはありません。自然に生きぬいてこの世の縁が尽きたら死に往くだけです。

お経を聞くべきはむしろ人間の方です。人間は与えられた人生に対して文句を言ったり愚痴ったり、傷つけたり、自ら命を絶ったりするのです。人間だけが迷い苦悩する生き物であるから、お経の教えが必要なのです。お経は、人生の指南書です。

大切なペットであるはずなのに、都合の良い時には可愛がり、思い通りにならないと虐待をしたり、手に負えなくなって捨てる、と言うことも聞きます。

こんな人間こそ、お経を聞かねばなりません。

僧侶側も一方的に「ペットにお経は上げません!」と断るのではなく、上げてあげたいという気持ちを大切にして、お釈迦さまが言わんとしていることを話してあげてください。

(第13組  心願寺  松井  聰)