答え
「御斎」とは単なる食事ではなく「仏事」であります。「斎」という言葉には、正しい、慎むという意味があります。本来、不殺生という戒律を守った正しい、慎み深い僧侶の寺院での食事として精進料理を出されました。また古来より、仏教用語で「斎食」といい、僧侶が決まった時刻にとる食事であるとも伝えられております。
真宗大谷派では、報恩講(親鸞聖人のご命日に勤める法要)などの仏事の際に、お参りされる方、お一人おひとりが、米や野菜などを持ち寄り、調理していただいたお食事のことを「御斎」と言います。そして、お食事をいただきながら、お念仏に出遇った慶びを、その場に集まった方々と語り合います。そのため、亡き人を偲びながら、飲んだり食べたりすることを「御斎」というわけではなく、「御斎」も仏事として、亡き人をご縁とし、仏様の教えに出遇う場として大切にしております。
今日も「御斎」の場は、亡き人が仏事を通して集めてくださった人と人との繋がりを深め、コミュニケーションの場となることが願われております。そして何より、大切ないのちをいただくことを認識し、改めて生きる喜びに目覚めて欲しいという仏様からのメッセージを共有する場でもあります。このように、仏様に照らされてお食事も仏事として「御斎」と申します。
(第13組 善福寺 野村 正示)